「DESIGN MUSEUM JAPAN展 2025」(国立新美術館)開幕レポート。「デザインの宝」は今年で27つに【2/4ページ】

 ここでは8つの地域を紹介するエリアから、いくつかピックアップして紹介したい。例えば、現代美術家・宮永愛子は、我々の生活にも馴染み深い「ヒラギノフォント」の明朝体が生まれた京都を訪ね、その成り立ちや土地との関係性について調査を行った。

展示風景より、宮永愛子「ヒラギノフォント」明朝体と京都の新しく古い関係(京都府京都)

 現代美術というデザインとは異なる領域で活躍する宮永にとって、今回の企画はどのように向き合うべきかと頭を悩ませるものでもあったという。展示を前に宮永はこう語る。「自分が日頃やってる表現活動は比較的ウェットなものなので、デザインとはかけ離れていると思っていた。しかし、(成り立ちや考え方を深掘りすることで)デザインにも同じようなものが通っていることに気づくことができた」。

展示風景より、宮永愛子「ヒラギノフォント」明朝体と京都の新しく古い関係(京都府京都)

 インテリアデザイナー・五十嵐久枝は、「魔法瓶」に目を向ける。そもそも魔法瓶というキャッチーな名前でありながらも、誰もがその固有名詞を使用していることに驚くと五十嵐。日本に一ヶ所しかないという大阪の魔法瓶工場を訪ね、保冷・保温機能を持つ特殊なガラスの製造技術や、時代にあわせて変化するデザイン、そして現在国外でも注目される魔法瓶の在り方についてもリサーチを実施した。

 五十嵐は、今回の企画で魔法瓶を選んだ理由について次のように語る。「幼い頃、魔法瓶の内側を覗くと、保冷・保温機能を持つガラスが万華鏡のように光っていたことが印象的であった。この人の目につかない内側のデザインに意味があることを伝えたい」。

展示風景より、五十嵐久枝「魔法瓶」ガラス職人たちの情熱が生んだ〈特産品〉(大阪府大阪)
展示風景より、五十嵐久枝「魔法瓶」ガラス職人たちの情熱が生んだ〈特産品〉(大阪府大阪)

編集部

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