また、森本は本展で初の立体作品として、自動販売機を使用した作品《Wunderkammer》(2025)も制作した。自動販売機の前面の広告パネルに森本の絵が取り付けられており、まるで実際に商品が購入できるかのようなその外観を持つ本作は、森本が夜の暗がりのなかで光る自動販売機を、小さなヴンダーカンマー(驚異の部屋)のような存在だと感じたことに由来している。美術館の原型ともいえるヴンダーカンマーを、再び美術館のなかに出現させることで、刺激的な入れ籠構造をつくり出すという意図も本作には込められている。

光を通して、日常の風景を新たな視点でとらえ直そうとする森本の絵画。その作品群をホワイトキューブで一堂に見ることができる意欲的な展覧会となっている。
