ルノワールとセザンヌの出会いは1860年代初頭、画家フレデリック・バジールが、ルノワールのところへセザンヌを連れて行き紹介したのが最初とされている。1882年には南仏のレスタックで制作していたセザンヌをルノワールが訪問。また冬にルノワールが肺炎を患ったときには、セザンヌとセザンヌの母が献身的に看病するなど、家族ぐるみの親交があったという。
ルノワールとセザンヌは、ともに1874年の第1回印象派展に参加した作家として知られるが、クロード・モネのように筆触分割を推し進めて抽象化していくのではなく、形態を保ちながらもそれぞれの絵画表現を突き詰めていったという共通点がある。
また20世紀初頭にも両者を並べて論じられることが多くあり、20世紀美術を主に扱った画商でコレクターのポール・ギヨー厶(1891〜1934)は、印象派・ポス卜印象派の作家のなかでもこの2人のみを収集していた。ギヨームは生前、そのコレクションをフランス国家に寄贈することで「フランスで最初のモダン・アートの美術館」ができることを望んでおり、フランス政府がそのコレクションを購入し、今日のオランジュリー美術館コレクションの核となった。本展出品作のうち大部分は、このギヨームに由来する作品だ。
