ともに裸婦をモチーフにしたルノワール《風景の中の裸婦》(1883)とセザンヌ《3人の浴女》(1874-1875頃)。
ルノワールの作品からは18世紀ロココ美術を代表するヴァトーやブーシェへの傾倒が見受けられる。裸婦の形態自体は線描表現を重視するいっぽう、背景は印象派的な筆致となっているが特徴だ。セザンヌの水浴図のなかでもっとも初期に制作された《3人の浴女》は、裸婦を細かに描き出すのではなく、3人の浴女が三角形の構図をつくる。背景の樹木も裸婦とリンクする構図が取られている。

本展は構成自体に特筆すべき特徴があるわけではないが、オランジュリー美術館所蔵のルノワールとセザンヌの名品が一堂に集うという点においては一見の価値はあるだろう。