本展では、肖像画や静物画などのジャンルにおいてふたりの作品を見比べることができる。
例えば肖像画では、ルノワールの《ピエロ姿のクロード・ルノワール》(1909)とセザンヌ 《セザンヌ夫人の肖像》(1885-1895)。ルノワールはたびたび、自身の子供をモデルにして制作しており、縦に長い画面、大理石の大きな柱のある背景には、ヴェラスケスやゴヤの宮廷肖像画の伝統が感じられる。いっぽうセザンヌは妻・オルタンスが室内でポーズを取る肖像画を多く描いた。ルノワールとは対照的に、背景には具体的なモチーフが描かれていない。顔もぼやけており、静物画のように人物をとらえている。


