横浜に新たな芸術複合施設「Art Center NEW」がオープン。「新しさとは何か」を問い続ける場所に【2/5ページ】

 そして今回オープンを記念して、本施設ではグランドオープン記念展覧会「NEW Days」が開催されている。会期は6月1日~7月20日。

 本展は、若手からベテランまで幅広い年代のアーティスト8名による展示となっており、展示タイトルにある「NEW Days」を、それぞれが解釈し、多様な表現方法によって制作された作品が展示されている。

 右奥のニューギャラリーでは、下司悠太の作品が展開されている。下司は1994年生まれ。2017 年東京造形大学造形学部デザイン学科グラフィックデザイン専攻を卒業後、会社に就職しながら家事代行業を兼業していた。しかしどちらも辞めたのちに、米と味噌汁で生活を成立させる、ボイコットのために服を自作する等の行動を発表し始めた。

 《生を使う可能性》(2025)では、家事代行を行っていた経験が作品に反映されている。もともと下司は家事労働を好んで行っていたが、当時自分が「使われる側」となっている構造に疑問を抱いていたという。生を続けるための重要な動きである家事労働の価値を、どのように伝えたらいいかを模索して制作したものとなる。

展示風景より、下司悠太《生を使う可能性》(2025)

 続いて、新しい都市の使い方をテーマに制作を続けるトモトシの作品が並ぶ。1983年山口県生まれで、大学を卒業後建築設計に携わり、2014年より制作を開始した。2020年からトモ都市美術館を運営し、ワークショップを通じて都市に主体的に関わる提案を行っている。

 トモトシは一貫して、「当たり前に続いていくはずのものが突然終わってしまう瞬間」をとらえた作品をつくる。本展では、いまにも倒れそうな傾いた壁に3つの映像作品が展示されている。《閉店のトレーニング》(2025)は、複数のコンビニエンスストアが映された8分間の映像作品だ。コンビニエンスストアは24時間365日営業しているもの、というイメージがあるが、実際最近では24時間営業せずに途中で閉店するところもある。本作は、消えることが予期されないコンビニエンスストアの消灯の瞬間をとらえた作品となっている。なんてことのない一場面でありつつ、当たり前の灯りが消える瞬間に不安を感じざるを得ない。

トモトシ《閉店のトレーニング》(2025)

編集部

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