続いて、庭師でもある中野岳の作品が展示されている。中野は1987年愛知県生まれ。2017年シュトュットガルド国立美術大学ファインアート科ディプロマ課程を修了。滞在する国や地域の特色を取り入れ、生活を反映した彫刻やパフォーマンス、映像作品などを制作している。
本展に出品している《Sandbagged Roots》(2025)は、名古屋城で土嚢袋に土をつめているときに思いついたという。当時中野が住む名古屋で、不発弾が見つかるニュースが相次いで起きた。そしてその出土した不発弾のかたちがサンドバッグに見えたことから、土嚢袋でサンドバッグをつくる作品を制作。不発弾の存在を知ることで日常の見え方が変わってしまった経験が、今回の展示テーマとつながっている。さらに地下空間である本施設にこの作品を置くことで、地下に眠る異常性を誰もが想像する機会をつくり出している。

本展最年少の大和楓は1998 年徳島県生まれ、沖縄県在住。2024年金沢美術工芸大学彫刻専攻を卒業。日常の中に埋もれている些細な身振りから、一つの型を掘り起こすことをテーマに作品を制作している。
本展では、《フィット》(2025)というインスタレーションを展示。新しい平和学習を提案したいという想いで制作された本作は、沖縄県公文書館に所蔵されている6枚の日本軍捕虜の写真がもとになっている。空間にはそれぞれの写真をもとに制作したイラストと、その付近に構造物や道具がある。来場者は作品に触れながら、パネルに顔をはめる、スイカを動かす、呼び鈴を押す、縄跳びを飛ぶ、飴をすくう、壁の線に腰を揃えるといった動きをすることになるが、それらはすべて、写真に写る日本軍捕虜の姿勢を再現するものとなる。80年前といまここに生きている我々が、動作を通じて接続されるように感じるだろう。何気ない動きひとつから、記憶すべき他人ごとではない出来事を想像するきっかけを与えられる。

今回「NEW Days」をキュレーションした秋葉大介は、本施設のこけら落としとして、「新しさとは何か」を問い続けるスペースの態度を示す展示を企画した。あらゆる世代の様々な人に向けて開かれたこの空間で、今後も「新しさ」への問いかけに挑戦していく本施設の展開に注目してほしい。