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「彼女たちのアボリジナル・アート オーストラリア現代美術」(アーティゾン美術館)開幕レポート【3/5ページ】

 ジャンピ・デザート・ウィーヴァーズとは、中央砂漠から西砂漠地域のコミュニティに属する女性アーティストたちによるコレクティブだ。同地に自生する草を素材として、伝統技法を用いながら立体物を制作。日常のエピソードやコミュニティでの出来事をテーマにアニメーション作品を生み出している。

 今回会場では4つのアニメーション作品を上映しており、総時間はおよそ10分程度。主な素材を活かしつつも、その表現の幅や登場するキャラクターたちのユニークな動きも非常に魅力があふれている。

展示風景より、ジャンピ・デザート・ウィーヴァーズによるアニメーション作品
展示風景より、ジャンピ・デザート・ウィーヴァーズ《私の犬、タイニー》(2018) ジャンピ・デザート・ウィーヴァーズ、NPYウィメンズ・カウンシル ©︎ Tjanpi Desert Weavers, NPY Women's Council

 先述したエミリー・カーマ・イングワリィは、国際的に高い評価を確立したもっとも成功したアボリジナル作家のひとりとして知られる人物だ。オーストラリア中央砂漠の都市から北東部にあるアルハルクラという地を故郷に持ち、1970年代よりバティックと呼ばれる制作手法を用いて活動をスタートさせた。

展示風景より

 アーティゾン美術館では2点の作品を所蔵しており、そのうちのひとつ《春の風景》(1993)は床置きで展示されている。実際写真にもあるように、カーマ・イングワリィは制作の際にイーゼルを用いず、地面にキャンバスを広げながら描いていたという。彼女が見つめていた制作の光景を、同じ目線で見ることができるのも本展ならではだ。

展示風景より

編集部

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