「いのち動的平衡館」(福岡伸一)

生物学者/青山学院大学教授の福岡伸一がプロデュースする「いのち動的平衡館」。NHA主宰の橋本尚樹による、柱のない浮かんた屋根をもつ建築は、生命が「動的平衡」を保ちながらうつろいゆく流れの中で、一瞬だけ立ち現れる自律的な秩序を表す姿を具体化させたという。
福岡が提唱する「動的平衡」とはどのようなものなのか。福岡は以下のように説明している。
秩序は、宇宙の大原則である「エントロピー増大の法則」に従って、無秩序になる方向にしか動かない。しかし、生命だけは、この法則に抗って、自らを率先して分解し、同時に作り直すことによって、なんとか秩序を維持しようとしている。これが生命のもっとも重要な本質、動的平衡である
─「いのち動的平衡館」ウェブサイトより
本パビリオンはこの「動的平衡」を体感できるものとなっている。内部ではデザイン・イノベーション・ファームのTakramが手がけた、光で感じるインスタレーションが展開。会場の中央には、暗闇の中に無数のLEDを植物のように生やした構造物を設置。見る者の身体に反応してらLEDがひとのかたちに点灯する。ナレーションとともに、LEDの粒子が立体的な点灯によって細胞や生物を表現し、地球に生命が生まれた歴史をめぐることができる。

