第2章「Evolution to a Singular Style 独自のスタイルへの発展」では、ダイヤモンドやプラチナが巧みにあしらわれたホワイトジュエリーを中心に、1920年代以降ヴァン クリーフ&アーぺルが追い求めた立体感のある造形的展開を紹介。
1920年代末に制作された《コラレット》(1929)は、1935年のブリュッセル万国博覧会ではフランス館に展示されたものだ。ネックラインには壮麗なダイヤモンドがあしらわれており、鮮やかなエメラルドは総計165カラットにもおよぶ。立体感と素材の多様性を追求した本作は、大きな注目を集めたという。

幾何学的な八角形を中心に、スズランのモチーフが様式化され、左右対称に配された《ブローチ》(1927)。その構成からは、秩序と幾何学を重視するアール・デコの美学を見て取ることができる。チョーカーやブレスレットとしても使用可能な多用途性を備え、連結部の精巧な技により、身体の曲線にしなやかに寄り添う着け心地を実現していることも特徴だ。
