最後となる第4章「Garden of Savoir-faire サヴォアフェールが紡ぐ庭」は、新館で展開される。本章はヴァン クリーフ&アーペルに現代まで継承され続けている「サヴォアフェール(匠の技)」の数々を5つのセクションに分けて紹介する。コンセプトを「庭園」とし、草花や動物を新たな視点で考えることができる章となる。
躍動的に咲く菊の花をかたどった《クリサンセマム クリップ》(1937)は、ヴァン クリーフ&アーペルが1933年に特許を取得した、石を留める爪を表に見せずに宝石の滑らかな質感を実現する「ミステリーセット」と呼ばれる宝飾技法が用いられたもの。1937年にパリで開催された「現代生活における芸術と技術の国際博覧会」に出品され高い評価を得た。

房飾りのついたタッセルをスライドさせてジップを閉じるだけで、ネックレスからブレスレットへと変容するデザインをもつ《シャンティイ ジップ ネックレス》(1952)。服飾業界で用いられたジッパーから着想を得たもので、ヴァン クリーフ&アーペルの作品におけるファッションからの影響を裏づけるものといえる。

アール・デコの建築空間で、ヴァン クリーフ&アーペルの作品を通じて、その思想を知ることができる、貴重な展覧会となりそうだ。