中国に誕生した超巨大美術館。「Ennova Art Museum」で見る南條史生ディレクションの芸術祭【4/7ページ】

第2章「Boundary Imagination (創造力の越境)」

 第2章「Boundary Imagination (創造力の越境)」は、人間の創造的思考に焦点を当てた章だ。この章では「越境」をキーワードに、境界線上で創造される作品が紹介されている。

展示風景より、アントワーヌ・ロジェール《CARNIVALS》(2018)

 アメリカのエイミー・カールは、バイオテクノロジーと3Dプリンターによって細胞のドレスを生成した。生物と非生物のあいだにある本作は、両者の折衷にあるからこその美しさを醸し出すとともに、身体のアイデンティティが自己と他者のあいだによってつくられていることを示唆する。

展示風景より、エイミー・カール 《Internal Collection》(2016-17)

 多岐にわたる活動で知られ、社会的な既成概念を覆すようなインスタレーションを制作する徐震(シュー・ジェン)は、同館中央にある吹き抜け空間に、まるでヘビのようにうねるギリシア様式の石柱を横たわらせた。西洋美術における権威的造形に東洋的な柔軟さを組み合わせ、文化が越境し融合するダイナミズムが表現されている。

展示風景より、シュー・ジェン《HELLO》(2024)

 ハンガリーのセマーン・ペトラは、アニメーションやビデオゲームの風景を用いて映像作品を制作する。アーティスト自身を模した手描きアニメーションのキャラクター「Yourself」が、00年代のコンピューター上の画面を思わせるローポリゴンの3DCGや、自身が東京で撮影した画像などを越境して行き来する。複数のモニターを組み合わせて表現された、デジタル上の空間を行き来する本作は、現代の多くの人が持ち合わせている思考のあり方を映し出す。

展示風景より、セマーン・ペトラ《Border as interface》(2024)

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