中国に誕生した超巨大美術館。「Ennova Art Museum」で見る南條史生ディレクションの芸術祭【5/7ページ】

第3章「Future of Environment(環境の未来)」

 第3章「Future of Environment(環境の未来)」では、創造性と現代の地球規模の課題との密接な関係を深く掘り下げ、特に人類の持続可能性、環境・生態系問題、そしてバイオテクノロジーやロボット工学といった分野に焦点を当てる。

展示風景より、ザドク・ベン=ダヴィド《Blackfield》(2006-20)

 2023年にニューヨーク近代美術館(MoMA)で展示された作品が世界的に話題を集めた、トルコ系アーティストのレフィーク・アナドール。本芸術祭には、約1億枚のサンゴ画像の基盤データセットデータを利用して、AI生成によって変化し続ける作品を展示している。有機的に変化し続ける色鮮やかな本作は、サンゴの生態の豊かさによって生み出されたものであり、アナドールは本作によってサンゴ保護の重要さを訴える。

展示風景より、レフィーク・アナドール《Artificial Realities: Coral)》(2023》

 リサイクル素材を使用してテキスタイルをつくりあげる林嵐(ジャファ・ラム)は、香港を拠点に活動するアーティストだ。香港とベルギーで集めた労働者の古着を組み合わせ、天井に展開。衣料という今後の人類にとって不可欠な存在と、そこに横たわる労働という普遍的な問題を、明瞭なイメージとして提示した。

展示風景より、ジャファ・ラムの作品

 トレヴァー・ヤンは第60回ヴェネチア・ビエンナーレの香港代表であり、Yutaka Kikutake Gallery 京橋で毛利悠子との二人展を行うなど、いま注目の作家といえるだろう。オブジェや植物を取り入れながら、人間の行動に様々な観点から問いを投げかけるヤン。本展では風水的に金を呼び込むとされるパキラを天井からぶら下げ、ハーネスで堅苦しく固定した作品を展示しており、自自然物への信仰が人的な力によって制限されているようにも見える。

展示風景より、トレヴァー・ヤン《Mr.Cuddles Under the Eave》(2021)

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