ヴィルカラは65年にムラーノ島のガラス工房ヴェニーニに招かれ、以後、毎年のように同地を訪れ、同地の職人とともに多様な技法と、多彩な色の組み合わせによって多様な作品を制作した。第5章「ヴェネチアの色」では、そこで生み出された色鮮やかなガラス作品が並ぶ。

最後となる第6章「世界の果てへ」では、ヴィルカラが1960年代に提唱した「ウルティマ・ツーレ」に迫る。
「ウルティマ=Ultima」はラテン語で「最も遠い、最後の」という意味、「ツール=Thule」は古代ギリシャ・ローマ人にとって「極北の地」を表す言葉だという。ヴィルカラにとっての「ウルティマ・ツーレ/世界の果て」とはどのような場所だったのか。ここでは約300個のガラスのインスタレーションと、長大なレリーフのデジタル映像によって迫る。

ガラスだけではない、ヴィルカラの多彩な発想を知ることができる本展。これまでにはなかったヴィルカラ像を、豊富な展示作品から感じてみてはいかがだろうか。