「Study:大阪関西国際芸術祭2025」見どころレポート【6/6ページ】

 70年代にポップ・アートのアーティストとして活躍したアレン・ジョーンズは、女性の姿を家具や椅子などのオブジェへと変貌させる彫刻を手がけてきた。《冷蔵庫》(2002)は実際に冷蔵庫として使用できるものであり、男女に割り振られた既存の役割に疑問符を投げかけるものでもある。

展示風景より、アレン・ジョーンズ《冷蔵庫》(2002)

 パトリシア・ピッチニーニは、異種交配された存在を作品に用いることで、人間、動物、人工物と分類してしまう私たちの考え方に異議を申し立てるアーティスト。多毛症の少女と異様な姿の生物を慈しむ《慰める人》(2010)は、「安寧と愛に満ちた家族の情景」を打ち砕き、美しさ/醜さ、人間/動物、自然/怪物という判別がどこからやってくるのかを問いかける。

展示風景より、パトリシア・ピッチニーニ《慰める人》(2010)

 サンティッスイミは、サラ・レンツェッティとアントネッロ・セラのアーティスト・デュオ。タイトル 《IN VIVO(M1)》(2013)はラテン語で「生きていること」を意味するとともに、生体観察や生体実験も指す言葉。プレキシガラスの箱に収められている等身大シリコーン製の彫刻は動かず直立しているが、その呼吸によってガラスに霧がかかっているようにも見える。

展示風景より、サンティッスイミ《IN VIVO(M1)》(2013)

 このほか同芸術祭では万博記念公園にある国立民族学博物館で俳優・のんのリボンアートと、東北の伝統工芸「こけし灯篭」がコラボした作品を展示。また大阪国際会議場では7月21日~23日の会期で国際アートフェア「Study × PLAS : Asia Arts Fair」を開催する。

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