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「瀬戸内国際芸術祭2025」春会期(直島、豊島ほか)開幕レポート。芸術と海の再生を目指して【4/7ページ】

大島

 ハンセン病療養施設・大島青松園を有する大島では、会期の内外を問わず、継続的に島を訪れ、交流を重ねながら作品を制作する作家が多い。春会期には、長年この地で活動してきた田島征三鴻池朋子が、それぞれ新作を発表。夏会期以降には、海外作家も加わり、大島に新たな視点をもたらす予定となっている。

 鴻池朋子は2つのプロジェクトを展開している。ひとつは《物語るテーブルランナーと指人形 in 大島青松園》。島で暮らし働く人々の物語を絵として描き、刺繍によってランチョンマットに仕立てたシリーズに、今回は“語り部”として指人形たちが加わる。人形劇形式で、大島の記憶や、自作《リングワンデルング》に込められた思いを伝える構成となっている。

鴻池朋子《物語るテーブルランナーと指人形 in 大島青松園》の展示風景より

 また、《リングワンデルング》は、大島の北山に存在した霊的なサンクチュアリを舞台とする。1933年に若い患者たちが自力で切り開いた「相愛の道」は、1.5キロメートルにもおよぶ山道で、瀬戸内海の絶景を望むことができる。長らく閉ざされていたこの道を作家が整備し、2022年には崖下の浜辺へとつながる石段を設置。円環状の地形を持つ島に、「生き延びるための抜け道」を創出した。今年は、かつて尾根沿いに存在した頂上へのルートを探り、再びその道を復活させている。

「相愛の道」から眺めた瀬戸内海の風景

 いっぽう、田島征三は《森の小径》を展開している。かつて独身寮が建っていた場所に整備された庭には、島に自生するトベラやウバメガシ、香川県原産のハマボウやハマゴウが移植されている。加えて、入所者が育てた金栽の松やソテツも取り入れられている。今回はこの森の中心に、作家初挑戦となる石彫作品を設置。さらに、車椅子やストレッチャーでも巡ることができるように道の一部が改修され、より多くの人々に開かれた場所として整備された。

田島征三による石彫作品

編集部

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