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「瀬戸内国際芸術祭2025」春会期(直島、豊島ほか)開幕レポート。芸術と海の再生を目指して【5/7ページ】

直島

 世界的なアートの島として知られる直島では、いくつかの新たな展示が展開されている。例えば、昨年6月に公開されたヤン・ヘギュとアピチャッポン・ウィーラセタクンによるコラボレーション作品《Ring of Fire─ヤンの太陽&ウィーラセタクンの月》は、太平洋を取り囲む火山帯「リング・オブ・ファイヤー」に連なる地殻変動や自然界の営みに着目し、光・影・振動をテーマに構成された作品だ。昼間はヤンによる彫刻が地殻変動のデータと連動し、地中深くの動きを可視化。夜間にはウィーラセタクンによる照明と音、さらに124年間の地殻変動の記録と自身の旅の記憶を織り交ぜた映像が空間に漂う。展示空間の母屋は、三分一博志建築設計事務所によって改修され、作品の世界観を支える建築的基盤となっている。

《Ring of Fire─ヤンの太陽&ウィーラセタクンの月》の展示風景より

 下道基行による《瀬戸内「   」資料館》は、2019年より継続しているリサーチプロジェクト。住民や専門家と協働し、瀬戸内地域の風土・民俗・景観・歴史を調査・記録・アーカイヴする取り組みであり、春会期では「瀬戸内『漂泊家族』写真館」をテーマに、直島諸島に漂着した廃材から自作のカメラを製作し、それを用いて撮影された風景や人々の姿が展示されている。

瀬戸内「漂泊家族」写真館の展示風景より

 また、1992年に直島で開館した最初の美術館であるベネッセハウス ミュージアムでは、大幅な展示替えが行われた。新たな展示では、初期から収集されてきたフランク・ステラをはじめとする欧米作家の主要コレクションが中心に据えられている。

ベネッセハウス ミュージアムでの展示風景より 画像提供=ベネッセハウス ミュージアム*

 さらに、5月31日には新たな拠点として「直島新美術館」が開館予定。安藤忠雄の設計によるこの美術館では、日本、中国、韓国、インドネシア、タイ、フィリピンなど、アジア各国の著名および新進気鋭のアーティスト12組による多様な新作や代表作が展示される。社会・環境・時代に対する批評精神や「生き方」を問う作品群が、地下2階・地上1階の3層構造のギャラリー、カフェ空間、屋外敷地に展開され、アジア発の視点から世界を問い直す新たなアート拠点として期待が高まっている。

編集部

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