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「瀬戸内国際芸術祭2025」春会期(直島、豊島ほか)開幕レポート。芸術と海の再生を目指して【6/7ページ】

犬島

 犬島では、産業遺産と自然、そして現代アートと建築が融合したユニークな芸術体験が展開されている。かつての銅製錬所跡地を生かした美術館から、集落に点在する「家プロジェクト」、植物を介した生活の再構築に至るまで、島全体がひとつの芸術空間となっている。

「家プロジェクト」の展示風景より

 犬島精錬所美術館は、柳幸典のアートと三分一博志による建築によって再生された施設だ。明治期に建てられた銅製錬所の煙突やカラミ煉瓦を保存しつつ、太陽光や地熱といった自然エネルギーを活用した、環境負荷の少ない設計がなされている。館内では、日本の近代化に対して鋭い視座を提示した三島由紀夫をモチーフとした柳幸典の作品が展示されており、産業遺構の記憶と現代の問いが交差する場となっている。

妹島和世+明るい部屋《犬島 くらしの植物園》の展示風景より

 妹島和世+明るい部屋による《犬島 くらしの植物園》は、島民や来訪者が植物を通じて新たな暮らしの在り方に思いを巡らせる場だ。「手入れが育む変化」をテーマに、アーティストの小牟田悠介らとの協働による参加型プロジェクト《手入れのリレー/Reflect》をはじめ、四季を通じて多様なワークショップが開催されている。植物との関係性を通じて、人と環境との新たな関係を考える場となっている。

「家プロジェクト」の展示風景より

 また、島内に点在する6つの展示空間で構成される「犬島『家プロジェクト』」も見逃せない。アーティスティック・ディレクターの長谷川祐子と建築家・妹島和世のもと、名和晃平荒神明香オラファー・エリアソンら国内外のアーティストが参加し、日常の風景や自然と呼応するインスタレーションを展開している。住宅の空間性を生かしながら、島の記憶や風土と対話するような作品群が、犬島の静謐な風景に溶け込んでいる。

編集部

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