人間の原点を求めて ―取材旅行と執筆活動
第二次世界大戦勃発の翌年、1940年のドイツ軍によるパリ陥落の直前に最後の引き揚げ船で日本へと帰国した太郎。帰国の翌々年に召集を受け中国戦線へ出征し、46年に復員した。その後、花田清輝らと「夜の会」を結成するなど、前衛芸術運動を牽引した岡本だが、50年代からは日本文化や風土の探究に注力するようになる。
その成果は、東京国立博物館で「発見」した縄文の造形美を論じた「縄文土器論」所収の『日本の伝統』(1956)や、『日本再発見一芸術風土記』(1958年)などの著作に代表される。2章では、そうした著作に関連する岡本が撮影した縄文土器や土偶の写真を数多く展示。岡本太郎が何を見つめていたのかをたどることができる。

