第4章「我々は、何を見ているのか」
映画を超えて広く認知されながら、それが何かを誰しもがひと言で言明できない存在であるゴジラ。芸術もまた、個々の経験と記憶により、多様な解釈の可能性を持つ。作品を「見る」ことは、たんなる視覚的経験に限らない、視覚を超えた、直感も含んでいるといえるだろう。
1954年の『ゴジラ』に登場するゴジラの視点を手がかりに、戦後から現代にいたる都市像について問いかける佐藤朋子の映像インスタレーションは、「考える・想像する」ことから作品にアプローチする契機をくれるだろう。それは、会場内に点在する青柳菜摘のデジタル作品とも呼応する。

