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「藤田嗣治×国吉康雄:二人のパラレル・キャリア―百年目の再会」(兵庫県立美術館)開幕レポート。藤田が照らし出す国吉の魅力【3/5ページ】

 展覧会は9章構成。第1章「1910年代後半から20年代初頭:日本人『移住者』としてのはじまり」では、藤田の《二人の少女》(1918)と国吉の《夢》(1922)などを併置。そして第2章「1922年から24年:異国での成功」では藤田の《タピスリーの裸婦》(1923)、国吉の《幸福の島》などを展示している。ふたりがそれぞれの異国で活躍を始め、評価を確立していく時期となるが、藤田はその乳白色の下地の美しさが、国吉は西洋と東洋を融合させた表現が、それぞれ評価されていたことがわかる。

展示風景より、左から《二人の少女》(1918)軽井沢安東美術館蔵、《花を持つ少女》(1918)栃木県立美術館蔵
展示風景より、左から国吉康雄《夢》(1922)石橋財団アーティゾン美術館蔵、藤田嗣治《坐る女》(1921)ポーラ美術館蔵

 第3章「1925年と1928年:藤田のパリ絶頂期と国吉の渡欧」では、国吉がパリに滞在し、油絵の本質に気づいていく時期を紹介。そして第4章「1929/1930/1931:ニューヨークでの交流とそれぞれの日本帰国」では、藤田と国吉が直接交流した、1930年前後の作品を展示している。

展示風景より、左から国吉康雄《水難救助員》(1924)、《二人の赤ん坊》(1923)ともに福武コレクション
展示風景より、左から藤田嗣治《舞踏会の前》(1925)公益財団法人大原芸術財団 大原美術館蔵、《五人の裸婦》(1923)東京国立近代美術館蔵

 藤田作品のなかでも、もっとも著名なもののひとつである《自画像》(1929)や、渡仏をきっかけにモデルに向き合い重量感ある肉体を描くようになった《サーカスの女玉乗り》(1930)といった佳作が展示されており、両者の人物画の持つ色彩や構図の比較をしてみるのもおもしろいだろう

展示風景より、左から《ニューヨークのスタジオでポーズをとる藤田(試作品)》個人蔵、藤田嗣治《自画像》(1929)東京国立近代美術館蔵
展示風景より、左から《サーカスの玉乗り》(1930)、《シュミーズの女(籐椅子に座る女)》(1929)ともに個人蔵

編集部

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京都