展覧会は9章構成。第1章「1910年代後半から20年代初頭:日本人『移住者』としてのはじまり」では、藤田の《二人の少女》(1918)と国吉の《夢》(1922)などを併置。そして第2章「1922年から24年:異国での成功」では藤田の《タピスリーの裸婦》(1923)、国吉の《幸福の島》などを展示している。ふたりがそれぞれの異国で活躍を始め、評価を確立していく時期となるが、藤田はその乳白色の下地の美しさが、国吉は西洋と東洋を融合させた表現が、それぞれ評価されていたことがわかる。


第3章「1925年と1928年:藤田のパリ絶頂期と国吉の渡欧」では、国吉がパリに滞在し、油絵の本質に気づいていく時期を紹介。そして第4章「1929/1930/1931:ニューヨークでの交流とそれぞれの日本帰国」では、藤田と国吉が直接交流した、1930年前後の作品を展示している。


藤田作品のなかでも、もっとも著名なもののひとつである《自画像》(1929)や、渡仏をきっかけにモデルに向き合い重量感ある肉体を描くようになった《サーカスの女玉乗り》(1930)といった佳作が展示されており、両者の人物画の持つ色彩や構図の比較をしてみるのもおもしろいだろう

