続く第2章には、室町時代に描かれた水墨画の傑作が並ぶ。臨済宗の画僧・明兆の弟子であり朝鮮に渡ったものの、その正体は謎に包まれている画僧・霊彩や、同じく伝記や出生が不明な謎の絵師・式部輝忠による作品を紹介。繊細さと大胆さを兼ね備えながら、見事なバランスで描き出されるその世界観に圧倒される。


第3章では、そのかわいらしさからも人気が高い「素朴絵」の数々を紹介している。例えば、白隠慧鶴(はくいん・えかく)は江戸時代の禅僧であり、独学で書画を学びながら生涯に1万点以上の作品を残したという。誰かに師事するという王道を歩まなかったからこそのオリジナリティに富んだ表現は、いまなお我々の心を掴んで離さない魅力がある。

