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「高畑勲展─日本のアニメーションを作った男。」(麻布台ヒルズ ギャラリー)開幕レポート。「火垂るの墓」は反戦映画ではないと語った高畑の哲学とは【2/5ページ】

 入り口を入ってすぐのところには、高畑勲とアニメーションの歴史の比較年譜がある。あまり知られていない、高畑の「ドラえもん」テレビ化に関する企画書などの貴重な資料とともに、高畑の仕事の幅広さを感じさせるプロローグとなる。

展示風景より

 本展は全4章で構成されている。まず最初のチャプター1「出発点ーアニメーション映画への情熱」では、高畑の東映動画時代の作品に焦点が当てられている。

展示風景より

 1959年に東映動画に入社し、アニメーションの演出家を目指していた高畑。演出助手時代に手がけた「筹と学気」(1961)や、新人ばなれした技術とセンスがあらわになるテレビシリーズ「狼少年ケン」(1963〜1965)に加え、劇場用長編初演出(監督)となった「太陽の王子ホルスの大冒険」(1968)が紹介される。

 「太陽の王子ホルスの大冒険」の制作には、作画監を務めた大塚康生のほかに、森康二、宮崎駿、小田部羊ーなど、後の高畑作品に関わる多くのスタッフが参加している。高畑は、分業が避けられないアニメーション制作の現場において、作業の全体を見渡せる者と、そうでない者との間に序列が生まれることを問題視していた。そこで皆が平等に作品参加できるようなシステムを構築すべく、企画、脚本、演出、キャラクターデザイン等に動画作画家の意見や絵柄が反映できるような仕組みをつくるなど、集団制作における新しい試みを行っていた。

展示風景より、物語進行の時間軸に沿った感情の起伏を可視化するテンション・チャートなど

編集部

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