メディウムとしての歴史
現在、京都・二条城での個展が大きな話題となっているアンゼルム・キーファーの作品も見ることができる。キーファーはドイツの歴史やナチス、世界大戦、リヒャルト・ワーグナー、ギリシャ神話、聖書、カバラなどを題材に、下地に砂、藁、鉛などを混ぜた巨大な画面に描き出してきた。《フレーブニコフのために》(1984-1986)はロシア未来派の詩人・フレーブニコフを取り上げたもので、画中のテキストからはドイツの戦争への言及が読み取れる。

もうひとりのドイツの巨匠、ゲルハルト・リヒターの作品にも注目だ。可視性と不可視性、写真と絵画、現実と虚構との境界を行き交いながら、「見ること」を探求し続けているリヒター。本展では、絵具と写真を積層させる「オイル・オン・フォト」シリーズのほか、既存のモノクロ写真のイメージを精密に模写してぼかす「フォト・ペインティング」シリーズをさら発展させたプリント作品を見ることができる。

