第1章「蔦屋重三郎という人物」では、蔦屋が主要な仕事のひとつとした、吉原を訪れる客のためのガイドブック『吉原細見』を出版し、やがて独占権を得ていった時期を紹介。二代歌川広重の《新吉原中之町》(1857、安政4年)の華やかな様子から察せられるように、以降の吉原は、江戸を通して文化風俗の発信地となっていった。

第2章「蔦屋を育んだ吉原と遊女のイメージ」は、吉原に生きた蔦屋が創出していった、江戸吉原や遊女の姿をイメージした浮世絵を展示。なかでも、鈴木春信による、吉原の遊女総勢166名を名入りで描いた美しい版本『絵本青楼美人合』は、色鮮やかな版本で遊女たちを紹介しようとした、蔦屋の創意工夫をいまに伝える一冊だ。

本章ではほかにも歌川国貞(1786〜1865)、喜多川歌麿(?〜1806)、渓斎英泉らによる、吉原の遊女たちや妓楼の様子を描いた、華やかな浮世絵を見ることができる。

