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「積層する時間:この世界を描くこと」(金沢21世紀美術館)開幕レポート【2/10ページ】

現実と虚構:近代への批判と憧憬

 アニメーションとコラージュを組み合わせ、現実と虚構の間にある「歴史」や「真実」を問う作品で知られる杜珮詩(ドゥ・ペイシー)。《玉山の冒険5》(2011)は、台湾の植民地化の歴史を描いた映像作品。しかしその素材は歴史的な資料やネットで集められた画像や映像であり、歴史そのものも断片のつぎはぎであること、権力者がいかように操作できることを示す。

展示風景より、杜珮詩《玉山の冒険5》(2011)

 風間サチコは、「現在」起きている現象の根源を「過去」に探り、「未来」に垂れこむ暗雲を予兆させる黒い木版画を中心に制作する作家だ。本展で見せる「平成博 2010」シリーズは、激動の平成時代を戦時中の国防博覧会におけるパビリオンに仕立てて振り返ろうとするもの。また、風間の近年の代表作であり、優生思想を中心とした「とある国家」の体育大会のオープニングセレモニーを描いた《ディスリンピック 2680》(2018)にも目を凝らしたい。

展示風景より、右が風間サチコ《ディスリンピック 2680》(2018)

 「大正生まれの架空の三流画家であるユアサヱボシ」という設定で絵画制作に取り組んでいるユアサエボシは6作品を展示。例えば《奇形卵》(2024)は日本の国旗のメタファーのようであり、戦後アメリカの傘の下で発展を遂げた日本の姿を示唆する。また《夢》(2021)は、「ユアサヱボシ」が見た夢をもとに描かれたもの。戦争ごっこをする子供が犬が操縦するロボットに立ち向かう様子は、第二次世界大戦中の旧日本軍のゲリラ戦を想起させる。

展示風景より、左がユアサエボシ《夢》(2021)

編集部

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