女性と神話:植民地化された土地
今年、東京オペラシティ アートギャラリーで個展「タナ・アイル」を開催し、大きな注目を集めた今津景。インターネットやデジタルアーカイブといったメディアから採取した画像を使い、独自の手法で絵画作品を手がけてきた。近年はインドネシアに拠点を置くなかで、同地の歴史や神話を参照した作品を数多く生み出している。本展では、ハイヌウェレ神話に基づく幅6メートルの大作《Memories of the Land / Body》(2020)などが並ぶ。

チトラ・サスミタはバリ出身で、同国の芸術と文化の神話や誤解を解明することに焦点を当てる作家。社会階層における女性の地位について深く問いかけ、ジェンダーの規範的な概念を覆そうとするサスミタ。「ティメール・ムラ・プロジェクト」はバリ島を中心とした群島の歴史と物語をたどり、再解釈したものだ。男性が中心となって紡がれた植民地主義イデオロギーに対して抵抗する女性像を描いている。